にいがたショートストーリープロジェクト2026

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狐火伝説 縄文とき子 著

 夕暮れ時に提灯の灯りが揺らめく。

 幻想的な花嫁行列は注目の的で、娘キツネらはうっとりと眺めていた。

まだ恋人さえもいないけれど、いつかは自分も結婚式で、あの美しい白無垢の袖を通す時がくるのだろうか。想像するとドキドキしていた。

 子ギツネたちも目を輝かさせて花嫁を見ていたり、自然と笑顔がこぼれて大はしゃぎだ。

 沿道からの祝福の声も数多く、あたりは温かな一体感に包まれていた。

 花嫁行列の打ち合わせは、式の半年前から始まった。

 打ち合わせが進むごとに、プランナーからは次回までに必要なものをそろえたり、決めておかなければならないことなどの大量の宿題を出された。

 花婿キツネはだんだん悩んで疲れてきた。それはとても真剣に花嫁行列に向き合っているということ。

 花嫁キツネはよくわかっていたので、

「頼ってばかりでごめんね。でも、一緒にいると一番落ち着くのよ」

 と言った。

 顔が耳まで真っ赤になり、照れ隠しの狸寝入りがばれそうだ。