夕暮れ時に提灯の灯りが揺らめく。
幻想的な花嫁行列は注目の的で、娘キツネらはうっとりと眺めていた。
まだ恋人さえもいないけれど、いつかは自分も結婚式で、あの美しい白無垢の袖を通す時がくるのだろうか。想像するとドキドキしていた。
子ギツネたちも目を輝かさせて花嫁を見ていたり、自然と笑顔がこぼれて大はしゃぎだ。
沿道からの祝福の声も数多く、あたりは温かな一体感に包まれていた。
花嫁行列の打ち合わせは、式の半年前から始まった。
打ち合わせが進むごとに、プランナーからは次回までに必要なものをそろえたり、決めておかなければならないことなどの大量の宿題を出された。
花婿キツネはだんだん悩んで疲れてきた。それはとても真剣に花嫁行列に向き合っているということ。
花嫁キツネはよくわかっていたので、
「頼ってばかりでごめんね。でも、一緒にいると一番落ち着くのよ」
と言った。
顔が耳まで真っ赤になり、照れ隠しの狸寝入りがばれそうだ。